はよせんか

香川・坂出市の祖母と孫二人の行方不明事件は、容疑者がついに逮捕されましたね。3人とも埋められたとか・・・痛ましいです。

連日マスコミ各社が様々な報道を繰り広げる中で、不謹慎ながら、今朝のとくダネの内容はとても斬新で興味をそそられました。近隣住民が聞いた「はよせんか」を言語学的・日本語学的にアプローチして犯人像を割り出そうとする試みでした。他局が時間帯や距離に着目する報道ばかりなので新鮮に感じましたし、私自身、日本語学を専攻したということもあって特に興味深く見ていました。

坂出市近辺で幅広い年代を対象に街頭調査を行った結果、次のようなことが分かったそう。

  • 「はよせんか」は主に50代以上の男性が使う。
  • 40代以下は「はよせー」を使うことが多い。
  • 若い人でも、同居する祖父や父親の影響で「はよせんか」を使う人もいる。

なので、犯人は50代以上の男性の可能性が高いのでは、という結論。「はよせんか」が本当に犯人の声かはわかりませんが、こういう用途で言語学を使うとは・・・と感心しきりでした。きっと取材スタッフに言語学系統出身の人がいるんでしょうね。

現場近辺の一般人、つまりネイティブに聞き取り調査した手法は意義のあるものだと思います。日常的に使っている言葉の感覚はネイティブでなければわからないことがたくさんあるので。今回の「はよせんか」だって、他地域の人であれば、「関西系の言い方、同等か目下に対して使う言葉」ということくらいしか気づきませんし。年代という発想はネイティブの調査あってこそでしょう。

余談:三河

余談ですが、私の住む愛知県東部(三河地方)には、

  • 「早く」
  • 「早くしろ」
  • 「はよしろ」
  • 「早くしりん」
  • 「はよしりん

思いついただけでこれだけの言い方があります。

私は今は「早く」を使いますね。小さい頃は「はよしりん」を使っていました。学生時代名古屋に通学したこともあって、三河弁が減りました。外の地域との関わりの程度も、使う言葉に影響があるみたい。

それから、同じ市内でも海の近くに住んでいる人や競艇に行く人は荒い言葉を使う人が多いです(浜言葉)。低い声のオバサン2人だと、普通の会話でも柄の悪いオッサン同士の喧嘩に聞こえます。

・・・とまぁ長々書いてしまいましたが、ちょっとした言葉からもいろんなことが分かるんですねという話でした。